【小説】眠りの果てに 第四話:伯爵様との対面

眠りの果てに
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 伯爵と面会する応接間の前まで来ると、アネシュカが待っていた。

「お待ちになっておりますわ。さあ、どうぞ」

 手ずから扉をノックし、扉を開ける。

「失礼いたします」

 緊張のため硬くなった声で言うと、恐る恐るインドラは部屋に入った。

 顔を上げると、目の前のソファに、身なりの立派な紳士が座り、傍らにはバトラーのドラホスラフが立っていた。

「あ、あの…初めまして…」

 緊張で萎縮してしまったインドラは、消え入りそうな声でそれだけを言うと、あとは喉が詰まってしまい、小さく震えだしてしまった。

 そんな様子を見ていたドラホスラフは、助けてやりたかったが、主の前で勝手に言葉を発することもできず、またアネシュカも同じ気持ちでインドラを見守っていた。

 何も言わず、青い瞳でじっとインドラを見ていた伯爵は、ダークブラウンの頭髪と同じ色をした口髭を軽く撫でると、ソファから立ち上がった。そして何も言わずにインドラの横を素通りすると、颯爽とした歩調で応接間を出て行ってしまった。

「あ、旦那様!」

 ドラホスラフはアネシュカに目配せすると、伯爵を追って駆け出していった。

-つづく-