ライオン傭兵団編-episode07 【片翼の召喚士】
「御大帰ったのか?」
ベルトルドが消えて少しすると、荷物を抱えた3人の男が、ガヤガヤと階段を降りてきた。
「ええ、今しがた。可愛いお土産を一人置いて」
「土産?」
タバコを咥えた無精ひげの男が、ぬっと顔を突き出しキュッリッキを見おろす。
「こりゃまた美少女だな、新規採用のメイドか?」
「違いますよ」
「おっ! スゲー美少女じゃんか。名前なんて言うんだい?」
赤毛の男が横から顔を突き出してきた。
「……キュッリッキよ」
身をすくめながら、キュッリッキは困ったように顎を引いて上目遣いになる。
「彼女はベルトルド卿がスカウトしてきた、召喚スキル〈才能〉を持つ傭兵です」
「召喚スキル〈才能〉だとぅ!?」
「マジかよ」
改めてマジマジと見つめられて、キュッリッキは肩をすくめた。
「私も仕事着に着替えてきます。ルーファス、彼女を空いてる部屋に案内してあげてください」
「おっけーい」
「そこで、仕事着に着替えてきちゃってください。今から仕事に行きますよ」
「あ、はい」
一瞬、仕事着なんてない、と言いそうになって、慌てて返事のみをする。仕事着に使ってと、ひと揃の服をもらっていたことを思い出したのだ。
カーティスが廊下の奥へ消えると、金髪の男が柔らかな笑顔でキュッリッキの前に出た。
「キュッリッキちゃん、かな。キミの使う部屋に案内するね」
「はい」
「オレはルーファス。こっちのむさっ苦しいのがギャリー、こっちの赤毛はザカリーって言うんだ。さっきのカーティスとキミと合わせて5人で仕事に向かうから、ヨロシク」
恐る恐るといった様子で、キュッリッキはギャリーとザカリーに、ぺこっと会釈をした。
「こっちだよ、おいで」
「う、うん」
ルーファスは小さなリュックをザカリーに預けると、スタスタと階段へ向かう。その後ろをキュッリッキは小走りに追いかけた。
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