【小説】片翼の召喚士-episode04

chapter-1.ライオン傭兵団編
この記事は約2分で読めます。

ライオン傭兵団編-episode04【片翼の召喚士】

 ライオン傭兵団と聞いて、キュッリッキは飛び上がるほど吃驚した。

 傭兵界ではその名を知らぬ者は絶対にいない。駆け出しの傭兵見習いですら、公にされている情報は把握しているくらいなのだ。

 3年前に現れた新興の傭兵団で、現在の団員数は僅か15名。各自が一人当千の実力を持ち、備えるスキル〈才能〉は最低でもAランク保持。仕事は100%パーフェクトにこなし、報酬の良い依頼が常にギルドから回され、個人報酬も破格だという。入団希望者は常に溢れかえるが、新入りの傭兵はこれまで一人もいないとの噂だ。

 そして、強力な後ろ盾を持っていることでも有名だった。

 大きな傭兵団ともなると、バックに富豪や資産家がつくことが稀にある。詳細な事は誰も知らないが、ライオン傭兵団の後ろ盾は、かなり強い権力を持つ者ではないか、そういう噂もある。

 キュッリッキは改めて、ベルトルドの顔をマジマジと見つめた。

(この人が、あの有名なライオン傭兵団の後ろ盾…)

 そんな有名な傭兵団の後ろ盾をしている人が、何故自分に仕事の依頼をするのだろうか。キュッリッキは信じられない、といった面持ちで、ベルトルドの手を無意識に強く握っていた。

「キミには是非とも、ライオン傭兵団に入ってもらいたい」

 キュッリッキの心の惑いを透かしたかのように、ベルトルドは優しく語りかける。

「キミは召喚という、とてもレアなスキル〈才能〉を持っているそうだね。実際どんな力なのか俺は知らないのだが、年若いキミがこうして傭兵業を続けていられるのも、それだけの実力を備えているからだろう」

「そ、そっかな」

 こんな風に褒められたことなどないので、頬を赤く染めて俯いてしまう。

「今は小さな依頼をコツコツ頑張っているようだが、キミの力はもっと大きな仕事で役立てるべきだと思う。どうだい? ライオン傭兵団で頑張ってみる気はあるかな?」

 悪戯っぽい笑みを口元にたたえながら、ベルトルドは目をぱちくりさせるキュッリッキの顔を覗き込んだ。

「衣食住、破格の報酬は約束できるぞ」

 綺麗な顔でにっこり微笑まれて、キュッリッキは思わず反射的に頷いてしまった。

(仕事の依頼っていうか、スカウトだったんだ)

 これまで何度かスカウトされて、傭兵団へ入ったことはある。ギルドが仲立ちをしてくれて、それで入っていたのだが、今回は直接傭兵団からのスカウトだ。しかも、傭兵界のトップからのスカウトなのだ。さすがに緊張してしまう。

(アタシに出来るかな……)

 不安と緊張で、心の中で弱気を呟くと、

「出来るさ」

 そうベルトルドが笑顔でウインクした。

コメント