【小説】片翼の召喚士-episode023

chapter-1.ライオン傭兵団編
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ライオン傭兵団編-episode023 【片翼の召喚士】

 仕事のため何人か不在にしていたが、カーティスやギャリーをはじめ、歓迎会の時に居た面々が顔を揃えていた。

 ソファに座って本を読んでいたカーティスは、本を閉じて立ち上がると、キュッリッキに笑顔を見せた。

「ようこそキュッリッキさん。今日からここで、みんなと一緒に暮らすことになります。困ったことがあったら、遠慮せず言ってください」

「よろしく、お願いします」

 マリオンの後ろに隠れながら、顔だけ出してキュッリッキは小声で挨拶した。表情が僅かに緊張している。

 キュッリッキが人見知り体質なのは、歓迎会の時にみんな気づいていた。一対一ならなんとか普通に会話もできるようだけど、複数名になると緊張してしまっている。ガエルにはとてもなついていたということで、相手にもよるのだろう。

「よっ、ちっぱい娘」

「ちっぱい言うな!」

「ひひっ、ほら、顔出した」

 床に座ってビールを飲んでいたギャリーは、ニヤニヤとむさっ苦しい顔をキュッリッキに向けた。ちっぱいと言うと、光の速さのごとき反応速度で反論が返ってくるのが面白い。

「ムキッ!」

 マリオンのワンピースをギュッと掴んで、キュッリッキはギャリーに怒りの眼差しを向ける。マリオンも肩をすくめて、呆れたようにギャリーを見た。

「セクハラだっつってんでしょぉ~、アンタわぁ」

「本当のコトを言ってるだけだ、気にすンな」

「気にするもん!」

 愛らしい顔をぷっくり膨らませて、キュッリッキが怒り出すと、ため息混じりにカーティスが仲裁に入る。

「初日から、からかわないでくださいな。さてキュッリッキさん、ここを説明しておきますね」

 カーティスに苦笑されて、キュッリッキは膨らませた頬を萎ませる。

「元はダンスフロアだったんですが、今は談話室として使っています」

「談話室?」

「ええ。平たく言えば、憩いの場とでもいいますかねえ。みんなで好きなものを持ち込んで、一緒に過ごすんです」

 みんなで一緒に過ごす。それは、キュッリッキにはとても新鮮な言葉に聞こえていた。

 室内には、いくつかのソファセット、ビリヤードやカードゲームコーナー、ストレッチ用具類、雑魚寝スペース、本棚、カウンターバーなどなど、ちょっとした娯楽スペースが満載だ。

「一人で自室でくつろぐのも構わないですし、自分のしたいことを、ここにきてやっていても構いません。自由に使ってください」

「う、うん」

「風呂場やトイレの共同スペース見学と、キリ夫妻にも紹介してきてくださいマリオン」

「おっけ~ぃ。んじゃ、行こうね、キュッリッキちゃ~ん」

「はい」