ライオン傭兵団編-episode018 【片翼の召喚士】
0時を過ぎた時点で、キュッリッキは眠ってしまった。昨日までの仕事の疲れと、全員と初めての顔合わせ、緊張とアルコールで限界突破してしまったのだ。
頬を紅潮させたまま、無防備な寝顔をさらけ出している。
「ハーツイーズのアパートまで、送ってきます」
メルヴィンは立ち上がると、机に突っ伏して寝ているキュッリッキを、そっと腕に抱き上げた。
(見た目通り、やけに軽い子だな…)
どんなに痩せている少女でも、もっと重いだろうと思う。
「あ、オレも一緒についていくよ」
ザカリーはジョッキのビールを飲みながら、慌てて立ち上がった。
「ヤダあ、ザカリーってばあ~、部屋がどこか確認してぇ、ナニするつもりなのぉ~?」
派手な化粧の女――マリオンは、ニヤニヤと意味深な表情でザカリーをからかう。
「んなっ、ちげーよブス!」
「えーん、ブスって言われたあ」
「行こうぜメルヴィン」
「はい。――では、カーティスさん、送ってきます」
「お願いします。気をつけて」
泣き真似をするマリオンを苦笑しながら見やり、肩を怒らせて歩いていくザカリーの後を、メルヴィンはゆっくりとついていった。