【小説】片翼の召喚士-episode016

(1).ライオン傭兵団編
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ライオン傭兵団編-episode016 【片翼の召喚士】

「アルケラって世界には、色んな子がいっぱーい住んでるの。神様とか不思議な姿の生き物とか。昨日は敵を一気に倒す方法を考えていたら、ゲートキーパーと闇の沼が、アタシの作戦に同調してくれて、それであの子達に、こちらにきてくれるようお願いしたの。魔法じゃないの。この目でアルケラを視て、呼び寄せることができる、そういう力」

 自分では丁寧に説明したつもりだった。しかし、メルヴィンの顔は、判ったような、判らなかったような、そんな複雑な色を浮かべていた。

「判りづらかったかな…、ごめんね」

 しょんぼりと肩を落とし、キュッリッキは切なげにため息をこぼした。口下手で説明することに慣れていないので、尚更ガッカリしてしまった。

 護衛の仕事で召喚の力を使うことは、あまりない。あらかじめ、当たり障りのないアルケラの住人を呼んでおくので、召喚するところを見せたことが殆どなかった。

 過去所属した傭兵団で召喚の力を見せつけても、スゲースゲーの連呼で、とくに興味を持って聞いてくる者も皆無に等しかった。だから、こんなふうに説明に困ることも、あまりなかったのである。

「い、いえ、こちらこそごめんなさい! オレの想像力が乏しいから、想像しきれなかったんです。アルケラがどういうところなのか、とか。でも、召喚するという仕組みのようなものは、理解出来たと思います」

「……ホント?」

「ええ。100パーセント正確ではないかもしれませんが」

 照れくさそうに笑うメルヴィンに、キュッリッキは初めて愛らしい笑顔を向けた。

 全部ではないにしても、自分の説明したことが、少しでも伝わったという事実がとても嬉しい。

「この先いくらでも機会はありますから、教えてくださいね、召喚のこと」

「うんっ」

 嬉しさのあまり、声が弾む。

 こんなにも屈託のない顔で微笑まれて、メルヴィンは一瞬ドキッとした。

 追今しがたまで、緊張を貼り付けたような顔をしていたのに、今は素敵な笑顔を浮かべている。もとより美しい顔立ちだから、眩しささえ感じてしまう。

 これをきっかけに、少しずつ馴染んで、みんなとも話ができるようになればいいとメルヴィンは微笑した。