【小説】片翼の召喚士-episode012

chapter-1.ライオン傭兵団編
この記事は約3分で読めます。

ライオン傭兵団編-episode012 【片翼の召喚士】

 ライオン傭兵団がベルトルドに説教されている頃、キュッリッキは唇を尖らせて、つまらなさそうにつま先で地面を蹴っていた。

(ご苦労だったな、キュッリッキ)

 突然頭の中にベルトルドの声が入ってきて、キュッリッキはぴくっと顔を上げた。

(ベルトルド…さん?)

(ああ、そうだ)

 優しいその声に、肩の力が抜ける。

(キュッリッキの活躍は、全部見せてもらったぞ。凄かったな)

(え、どうやって見てたの!?)

(そこにいる、3バカたちの目を通してだよ)

 3バカと称された3人に目を向け、あまりよく判っていない顔で小さく頷く。

(入団テストは合格だ。今日からキュッリッキも、ライオン傭兵団の仲間だ)

(ホントに? よかったあ~)

 キュッリッキは嬉しそうに、顔をほころばせた。

(あとのことはカーティスに任せてある。今後もその凄い力で、頑張るんだぞ)

(はーい)

 ベルトルドに優しく励まされていると、複雑な表情を浮かべたカーティスが戻ってきた。

「ねえ、アタシ、テスト合格だって。ベルトルドさんが」

 嬉しそうなキュッリッキに、カーティスは頷いた。

「ええ、合格です」

 その言葉に、キュッリッキは無邪気に微笑んだ。

 ギャリーはよっこらせっと言いながら立ち上がり、大きな掌をキュッリッキの頭に乗せると、ワシャワシャと撫でた。

「おめっとさん、ちっぱい娘」

「ちっぱい言うなっ」

「よろしくね、キュッリッキちゃん」

 ルーファスがキュッリッキと目の高さを同じにして、ニッコリと言った。

「まあ、その、なんだ、凄かった」

 ザカリーはぎこちなく言うと、苦笑を浮かべた。

「サントリナからは、しっかり報酬をいただいてきました」

 カーティスは一枚の紙切れをビシッと示す。二千万ほどの金額が、その紙切れに書き込まれていた。小切手だ。

「中々奮発してるじゃない」

 小切手をカーティスからひったくり、ルーファスが素っ頓狂な声を上げた。

「これでも値切られたほうですよ。当初は五千万の予定でしたし」

「ご…」

 キュッリッキが呆気にとられて呟く。噂通り、破格の報酬額がやり取りされているようだった。

「一億でもよかったかもネ~。一度の出兵や戦闘での損失に比べると、小銭程度だしさ、これじゃ」

 ルーファスが肩をすくめると、ギャリーが鼻を鳴らす。

「まっ、財政的にも大変そうだしな、これで勘弁してやれや」

「まあね~」

「メルヴィン組みとガエル組みの仕事も終わったようです。明日には全員顔を揃えられるでしょう」

「そっか。んじゃあ、明日はキュッリッキちゃんの歓迎会だね」

「豪快屋に予約入れとかねえとな」

「マーゴットに指示しておきました」

「おいカーティス、サントリナ軍が馬車を用意してくれたってよ」

「判りました」

 ソープワート軍が一斉に消えてしまったので、狐につままれたように呆気にとられていたサントリナ軍も、撤収の準備に取り掛かってざわついていた。

「さて、我々も帰りましょうか」

コメント