第二話:利子と英雄

クラスメイト
「ねーねーリシっち、今からゲーセン行かない?」

利子
「あー、ゴメーン、今日は用事あっから、今度誘って」

クラスメイト
「おっけー、また月曜にネ」

利子
「またー」
授業も終わり、帰宅する者、部活動へ行く者、次々と生徒が教室から出て行く。
利子は教科書の入っていないカバンを持つと、窓際の一番後ろの席へ向かう。

利子
「ヒーロー、一緒にレンタル屋付き合ってよ」
カバンに教科書やノートを詰めていたヒーローこと、英雄は顔を上げる。

英雄
「DVDでも借りるのか?」

利子
「そそ」

英雄
「判った」
カバンのフタを閉じて、英雄は立ち上がった。

英雄
「利子」

利子
「にゅ?」

英雄
「数学と国語の宿題出てただろ。教科書とノートをカバンに入れろ」
真顔の英雄に見下ろされ、利子は明後日の方向へ視線を泳がせた。

利子
「月曜の朝、愛ちゃんに写させてもらうから、いいんだもーん」

英雄
「お前な…」
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